私自身/いしだあゆみ

彼女は昔から痩せ型ではありましたが、最近の激やせは少々気になります。この歌は細野晴臣の作曲でいわゆるティン・パン・アレーの面々がバックを固めており、バックコーラスには山下達郎と吉田美奈子が参加しているという豪華版です。

しかし、バックグラウンドは忘れてこの歌を聞いてみると、どうでしょう?メロディがハッキリせず、カラオケで知らない曲を無理やり歌わされた、或いは酔ってヘロヘロ状態で歌詞だけを追いかけて訳分からん状態になったような悲惨な状況を思い出してしまいました。珍盤・奇盤と言っては失礼ですが、この歌を覚えて正しくカラオケで歌うのは至難のワザでしょう。ゆっくりと余裕を持ってブルーライト・ヨコハマを歌ういしだあゆみがヤッパリ良いですね。

ヤットン節/久保幸江

今年は寒かったので、桜は遅いかと思ってましたが、会社の周りの花は既に七分咲きという処です。今週いっぱいが見ごろでしょうか。

桜と言えば花見。あちこち桜の名所では大変な騒ぎでしょう。私も前の会社でワカイシに朝から上野の山の場所取りをさせた事がありますが、昨今はパワハラとか言われて、こういう事もやりにくくなっているのかも知れません。

宴会の席で歌う酒に纏わる歌は山ほどあるでしょうが、この歌は典型的なクラシック。以前は宴席で聞く事もありましたが、最近は忘れ去られているような気がします。調子の良い七五調の歌詞で、酒飲みの気持ちが率直に出ており一度聞くと耳の奥に残ります。A面のトンコ節も後世に伝えたい名曲です。これは別の機会に紹介します。

………..<2018.03.29追記>………………….

やはり、A面のトンコ節が聞けないのは寂しいと思い、追加しました。

ホテル/立花淳一

巷では不倫、不倫と毎週のように文春砲が炸裂していますが、なんとこないだはキョンキョンまでが「なんてったってフリーン」とか言い出しちゃって、もう大変。私も不倫クラブのメンバーになりたいもんです。

考えてみると不倫をテーマにした歌は最近は少ないですが、昭和歌謡の時代には沢山ありました。その中で、名曲は何かと考えるとやはり、これでしょう。「ホテルであぁあって、ホテルで別れる」という非常に分かりやすい歌詞。やはり作詞はなかにし礼氏でした。(浜圭介作曲)

立花淳一はウィキペディアによると、五月みどりの三度目の夫だったそうですが、それ以外には目立った記述はありませんでした。色々な歌を出してますが、やはり「ホテル」の一発屋と言っても過言ではないでしょう。改めてじっくり聞いてみると、もうこんな歌は二度と出てこないだろうという気がします。まさしく昭和の遺産です。

入江にて/郷ひろみ

郷ひろみを初めてTVで見た時は「何なのこれ、阿保みたい」と思った事を覚えている。当時は歌番組が多かったので時々彼を見ていたが、特にどうとも思わなかった。

大学生の時、先輩が当時調布駅前にあったキャバレー・チェーンのハワイに連れて行ってくれた。6時迄に入るとサントリー・オールド飲み放題という、今風に言えばハッピー・アワーを狙って入店。当時の貧乏学生にとってはオールドは高級品。店のオネ―さんには目もくれず、柿ピーを齧りながら水割りをガブガブ飲み続けていた。暫くすると店内が少し暗くなり、ミラー・ボールがチカチカし始めた。と同時に郷ひろみの歌(曲名忘れた)が大音量で流れ、それに合わせて店のオネ―さんがみんなヒェーとかフゥーとか言って立上り、クネクネと踊り始めたのであった。

ス、スゴイ!これがその時の感想である。郷ひろみは一遍にこれだけのオネ―さんを躍らせる力があるのだ!と思った。勿論お店のマニュアル通りのルーティーンであろうが、なんか感動したのを覚えている。その翌日か翌々日、新星堂に行って「郷ひろみ全曲集」というカセットを買い、郷ひろみの歌を覚えた。聞いてみると中々面白い。それ以来、郷ひろみの新曲が出るとつい気になって聴いていた。

郷ひろみには良い曲がたくさんあるが「入江にて」はベスト10に入ると思う。タイトルが地味でシングル・カットされていないので、余り有名ではないが、今聞いても古くない。このLPはニューヨークのスタジオ・ミュージシャンが結成した24丁目バンドがバックを努めており、ジャケットは横尾忠則、プロデューサーは酒井政利という豪華メンバー。しかしこのLPは素晴らしい出来にも係わらずCD化されないのは、権利の問題でもあるんでしょうか?

<2018.02.20 追記>
1月28日放送の「クリス松村のいい音楽あります」で「スーパードライブ」が紙ジャケット仕様でCD復刻発売された、とクリス松本が感激しながら語ってました。但し、放送では入り江にてはかかりませんでしたが、、

くれないホテル/西田佐知子

かなり前になるが、歌舞伎町に「えば」というスナックがあった。今はもう無いが、そのスナックのママが同郷という事で時々顔を出していた。そこに高校の先輩・後輩が寄り集まって宴会をやったり、出張で上京していた市長と一緒に飲んだり歌ったりしたこともある。

当時はカラオケボックスよりスナックで歌う事が多く、ママは西田佐知子が好きだというので「くれないホテル」を店のカラオケで何度か歌った覚えがある。

この歌は橋本淳作詞、筒美京平作曲で筒美京平はご承知の通り、数多くのヒットソングを作曲している。彼について色々な論評があるが、最近入手した筒美京平に関するインタビュー集では細野晴臣、大滝詠一、山下達郎がそれぞれの筒美京平に対する想いを述べている。

当時細野晴臣は洋楽、特にサイケデリックな音楽にどっぷり浸かっており「とにかくアメリカ、イギリスの辺りの音楽の全盛期で、日本の音楽は今聞いていいと思うようなものでも、当時は全然耳に入ってこなかったんです。その中で一曲だけ入ってきたのが筒美さんの『くれないホテル』だったんです。」と述べている。

細野晴臣が「くれないホテル」を高く評価しているという事を大滝詠一は知っていたようで「まず、筒美作品で一番好きな曲を挙げろと言われれば弘田美枝子さんの『渚のうわさ』なんですよ。細野(晴臣)さんだと『くれないホテル』(西田佐知子)と来ると思うけど(笑)」

山下達郎は「くれないホテル」について「弦が印象的な曲とかそういうのはいくらでもあげられるけど『17才』とかね。ブラスはなんていったって『また逢う日まで』ですよ。あのイントロのスケールってすごいもの。あとは『くれないホテル』の『ホ・テ・ル』のあのメジャー7thの感じとかね。」

私もこの歌は他の演歌と違う落ち着いた感じが心地良く感じました。特に山下達郎言う処の「ホ・テ・ル」が堪らないですね。下敷きはエンゲルフンパーディンクの「ラストワルツ」だとかバートバカラックの影響とか言われますが、まあ、そういうのはどうでも良いと言い切ってしまいましょう。

西田佐知子の唱法はヴィブラートが少なく、都はるみがHOTとすれば西田佐知子はCOOL。水前寺清子が陽とすれば西田佐知子は陰。ジャズで言えばNYを中心としたEAST COAST JAZZというより米国加州で盛んだったWEST COAST JAZZという感じでしょうか?

では、「ホ・テ・ル」とそれに続く余韻をお楽しみください。

夕陽の中で/長谷川きよし

長谷川きよしはデビュー作「別れのサンバ」が大ヒットし、それを聞いてファンになりました。盲目でありながら、ギターの奏法に迫力があり、凄い歌手が出てきたもんだ、と思った記憶があります。その後のアルバムは皆良い出来で、初期のLPは全部CDで買い直しました。彼は銀巴里がスタートという事もあり、シャンソンが得意なので、こんな曲も上手く歌いこなせるのだろうと思います。

しかしながら、その後中山千夏や「話の特集」の矢崎泰久のような妙な連中と付き合い始め、私風に言うならグレてしまい、訳分からん左翼的言辞を弄する迄になってしまいました。(民進党の辻本清美を見ると中山千夏を思い出すのは私だけ?)本人の主義主張は自由ですし、デビュー後、前と全然違う形の歌手に変化した人も沢山います。しかし、自分としてはいつまでも、あの感じで歌い続けて欲しいと思ってました。

最近は京都にお住いのようで、そのせいか枯淡の境地に近いものがあり、静かに音楽活動を続けられているようです。京都でライブがあれば、是非見に行きたいものであります。

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彼女は最初からこの夏だけの事にしたかったんです。でも若い彼氏は夢中になってしまいました。秋になれば忙しくなるんだと言っても諦めてくれそうにもありません。なんたって薄く残った水着の跡はたまりませんものねえ。でも彼女の信念に揺らぎはありません。遂に言ってしまいました「ねぇ、分るでしょう?」

最近は説明過多の歌詞が多いですが、これくらいだと色々妄想が膨らみます。また、バックのトロンボーンのアレンジも素晴らしく、初秋の感じが出ている気がします。

お嫁にゆけないわたし/三浦弘とアローシックス

「不倫は文化」で有名な石田純一氏が週刊新潮8月10日号に「迷言誕生から20年余!『不倫は文化』の検証ガイド」と題して寄稿されました。この名言は1996年長谷川理恵との不倫がフォーカス誌にバレた時、ゴルフ場で記者に追いかけられ「…でも、不倫を完全に否定してしまったら、世界からどれだけの芸術が無くなってしまうと思いますか。不倫という恋愛から生まれる音楽や文学もあるじゃなですか。苦しみや葛藤から生まれる文化もあるんです。云々」等と答えたそうです。これをスポニチが「何が悪い、不倫は文化!石田純一」と見出しに書き、ここから「不倫は文化」だけが独り歩きしてしまったと述べています。

次に「不倫から生まれた芸術や文化は、実に多彩なのです。」として、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」、1950年の映画「イヴの総て」、中上健次の「枯木灘」等が紹介され、特にワーグナーについては「さて、ここからが大事ですが、ワーグナーがこういう作品を創ることができたのは、自分自身も運命的な出会いに身を委ねていたからに違いありません。」としてワーグナー自身の女性(人妻)遍歴が詳しく書かれています。その他、と不倫から文化となった種々の例を挙げています。

次に【不倫の魔力を糧に】という見出しの下「…それでも、こと芸術についていえば、不倫の魔力は強力なパワーやインスピレーションになる。不倫は背後に破滅的なものを背負っているがゆえに、決してほめられませんが、不倫を糧に生まれた作品が、100年、200年たったいまも、ロダンやクローデルの彫刻のように、僕たちに感動を与えてくれているのも事実なのです。」と本論を結んでいます。

最近は不倫報道が盛んで、またか、と思う反面興味津々ですが、餌食となった人は不運ですねぇ。私同様、石田氏と同意見であっても、周囲の顔色を伺いつつ本人を叩く評論家、コメンテーターという構図は見飽きた感があります。石田純一氏におかれましては、より深い「不倫と文化」に関する論考を上梓される事を期待しております。

という訳で不倫ソングですが、改めて見直すと不倫の歌多いですね。もっとも二人が出会って愛し愛され、目出度くゴールイン、今の私たちトッテモ幸せ!なんて歌作っても面白くも何ともないのも事実。やはり、少しは暗く悲しい面がないと入り込めないのかもしれません。

三浦弘とハニーシックスの「お嫁にゆけないわたし」は相手に妻子がある故、お嫁にゆけない、という当たり前の話ですが、既にムード歌謡が絶滅危惧種になった今、白いスーツにエナメルの靴、中条きよしみたいに結び目の太いネクタイで決めたグループがとても懐かしく思えてきます。「不倫と文化」に加え、ムード歌謡も研究してみる価値がありそうです。

ジャマイカ・ムーン/ミルキィ・ウェイ

 この曲はニック・デカロが作曲した”Under The Jamaican Moon”のカバーで彼の”Italian Graffiti”というアルバムの一曲です。このアルバムがAOR (Adult Oriended Rock) の元祖とか言う人がいますが、どうなんでしょう。私個人的にはオリジナルよりこっちのカバーの方が出来が良いと思ってます。ミルキィ・ウェイというのは信田一男(kyd,vo)と松下誠(g,vo)という二人の有能なスタジオ・ミュージシャンが作ったバンド(?)でアルバムはこの”SUMMER TIME LOVE SONG”一枚限りです。この曲以外にもパーシーフェイスでお馴染みの「夏の日の恋」アントニオカルロスジョビンの「波」ナベサダが作曲し出門英が歌った「白い波」等全9曲、選曲も素晴らしい。

全般的に爽快感のあるコーラスまたは斉唱で、この夏の暑さに閉口している諸兄にはお勧めです。木陰でビールでも飲みながら昼寝するのにピッタリぢゃないでしょうか。 ジャケットは浅田慎平撮影だそうですが、真夏にゴロワーズというのは何だか暑苦しい感じがするのは私だけ?

爪/ピーター

知らずにこのジャケットを見た人は、ピーターだと気づかないんぢゃないでしょうか。

このアルバムに興味を持ったのはまずジャケットの良い事。ジャケ買いという言葉がありますが、ジャケットの良いCD、レコードはやはり内容も良いようです。次に伴奏がショーロであること。ブラジルの古典的音楽形式であるショーロを継承している田嶌道生氏がメインの伴奏とアレンジを担当しています。

最近はボサノバから入ってブラジル音楽をあれこれ摘み食いしてます。毎週日曜日17時から17時55分迄、滝川クリステルがDJやってる「サウジ・サウダージ」(J-WAVE)を聞いて勉強していますがポルトガル語はやはり意味不明で中々奥に進めません。滝川クリステルはお・も・て・な・し、だけかと思ってましたがポルトガル語も出来るんでしょうか?時々歌詞の意味を説明してくれてます。

「私が愛した女たち」と題されたこのCDには、ピーターの敬愛する越路吹雪とのデジタルデュエットで「誰もいない海」、テレサ・テンとのデジタルデュエットで「つぐない」。デビュー曲の「夜と朝のあいだに」の新バージョンもあります。その他全12曲、良い選曲だと思います。その中で一曲選ぶのは難しいところですが、私の趣味で平岡精二 作詞・作曲の「爪」を選びました。これは確かに名曲です。全体に月並みな表現ですが、退廃的、耽美的な雰囲気が漂っており、ガキが入り込めない世界が出来上がっています。

二十才の頃/かまやつひろし+なかにし礼+安井かずみ

tokyo_bossa_nova_lounge.jpg晩年ムッシューかまやつの通り名で親しまれた、かまやつひろし氏がお亡くなりになりました。彼はスパイダースの頃から色々良い歌を作曲してきましたが、これは珍しく、なかにし礼と安井かずみの共作詞に彼が曲を付け、3人で歌っています。この3人のメンバーから予想されるように、決して建設的な話にはならず、全体的にテレェ~としたボサノバ風味に仕上がってます。多分歌の中でムッシュはゴロワーズを吸っていたんでしょう。

尚「ムッシュー / かまやつひろしの世界」というベスト盤にもこの曲が入っていますが、今井美樹とのデュエットでオリジナルではありません。この歌はシングルカットされていない事もあり、現時点ではこのオムニバス盤しか音源が無い模様。

ムッシュの話で覚えているのは、ロッドスチュワートが来日した時にムッシュは最前列で見ていました。舞台でロッドスチュワートがスタンドマイクをブルブル、グルグル振り回すので、カッコ良いなあ、でも力あるなあ、と感心したんですが、終演後に舞台に忍び込んでそのマイクスタンドを持ってみると異常に軽い事に気づいたそうです。ロッドスチュワートが特注したようで、これなら振り回せると自分も似たようなものを作ったという話をしてました。
(矢沢永吉のスタンドマイクの重量を図ってみたいものであります。)