日本プロ野球犯罪辞典/浦田盛一/他著

読書のお時間

本書は大変な労作である。プロ野球界で刑事事件を起こした選手を五十音順にならべ、その選手のプロ野球界での記録、罪状、事件後について取材と参考文献調査により、極力著者の主観を排して事実関係を述べている。取り上げられた選手は143名。こういう事を言うと叱られそうであるが、意外と少ない様な気がした。

辞書のようなものであるので、索引からお目当ての選手の件を拾って読むと言う感じである。例えば平成4年、巨人の柴田勲がポーカー賭博で現行犯逮捕された時、ラグビーの松尾雄治も共に逮捕された。しかし、「元ラグビー選手でスポーツ評論家のB『当時38歳』」と匿名になっている。著者によれば野球選手以外の関係者は匿名にするという方針らしい。余談であるが、柴田勲が謝罪の記者会見を開いた時、トランプ柄のセーターを着て記者の前に現れたので顰蹙を買った。(本人はウケ狙いだったんでしょうか?)

その他有名人では江夏豊、清原和博、東尾修、星野仙一、等々。罪状は傷害、交通事故、賭博、覚醒剤、脱税、婦女暴行とバラエティにとんでいます。殺人犯はありませんでした。

ところで、巻末に昭和44年10月に西鉄ライオンズで発覚した通称「黒い霧」事件の詳細が当時の証言、参考文献を駆使し、四つの章に分けて纏められています。主観や感想を排し、約65頁にわたり事実のみがをほぼ時系列に並べている。少々読みにくいキライもありますが、関係者(特に西鉄球団幹部)の証言が二転三転していくところは実録物ならでは迫力でしょう。この事件は野球賭博の八百長という疑いで捜査が始まったが、野球だけではなくボートレースにも及んでおり、野球界と裏社会の絡みがかなり明らかにされた。このため検察のみならず、国会でも取り上げられ、当時の美濃部都知事が公営ボートレースを廃止する一端を担う事になったようです。

結局、首謀者とおぼしき、永易以下4名が球界永久追放となったが、その一人である池永投手の処分は重過ぎる感じがする。事件後の会見での態度、もの言いが良くなかったのが災いしたのかもしれない。池永は野球を辞めた後、下関でスナックを開業した。その後、支援者が名誉回復運動を行い、平成17年4月、日本プロ野球機構は池永に対する失格処分を解除した。尚、もう一つの労作として「プロ野球脱税事件」が纏められているが、こちらは余り面白くない。

現役のみならず過去の名選手が監督やコーチ、或は解説者になって活躍しています。最近ではスリクで捕まった清原和博も解説者デビューしています。この本があればビールを飲みながらの野球観戦が盛り上がるかもしれません。