ライムスター宇多丸の映画カウンセリング/ライムスター宇多丸著

読書のお時間

ここのところ、映画は休館、寄席も駄目、ライブもコンサートも無いとなると、後は家で映画を見る、CDを聴く、本を読むというぐらいです。(TVは増すます面白く無くなって来ました。)そんな訳で映画通のライムスター宇多丸の文庫です。これは悩める人の相談にぴったりの映画を紹介するという形になっています。例えば

  なんでヤンキーがモテるんだ!
  どうしてヤンキーばかりがモテるのか、
  まったく納得がいきません!
  僕は本や映画のこともよく知っているし、
  それを女の子に教えてあげることだってできます。
  なのになんで女はヤンキーの方にいくのでしょう?
  (23歳 群馬県 専門学校生)

その答えは
どうしてヤンキーが、『本屋や映画のこともよく知っている』あなたよりモテるのか?ミもフタもない言い方をすれば「群馬だから」ってことじゃないスか?」

これはまあ軽いツカミですが、ヤンキー文化圏のド真ん中に居ればそれも当然ではないかと。逆に『本屋や映画のこともよく知っている』事がイケてるコミュニティの中でのヤンキー的振る舞いは「趣味が悪い、無知な人」等と言われてしまうかもしれません。続けて

「現状に不満なようなら、まずは『居場所』を変えてみたら?でもその前にちょっと気になるのは…『教えてあげることだってできます』っていう、上から目線の物言いです。女は自分より確実に無知、もしくは趣味が悪いはずと決めつけている時点で、あなた、ご自分で思ってらっしゃるよりずっと男性原理的考え方をされていますよ。(中略)そのための〔反面教師〕として最適なのは、やはりウディ・アレン作品でしょう。」

ここでは「アニー・ホール」、「ウディ・アレンの重罪と軽罪」、「夫たち、妻たち」が推薦されています。私はウディ・アレンのファンで彼の映画は殆ど見ています。特に一番好きな映画の一つである「アニー・ホール」が出てきたは嬉しいような気もしますが、宇多丸言うところの「反面教師」というのは言われてみてなるほどそうも見えるのか、と感心しました。自分としてはウディ・アレンの生き方そのものと映画の中のとぼけたギャグ。それとなんとなくシニカルというかミもフタも無いオチが面白くて見て来たという感じです。

そして人生相談の回答としては男女の出会いに関して
「初期段階では、『ここも合う!』『ここも合う!』で盛り上がってていくもなんですよ。こんなに『合う』ところが多いなんて、本当に運命的な出会いかもしれない、とすら思ったり。でもね。相手は自分ではない以上、そのうち『合わない』ところも出てくる、絶対に。そうすると、あれだけ『合う』ところばっかりだと思ってたのに…という失望が、必要以上に大きくなってしまう。その失望自体が、実は自分勝手な話なんですけどね。」
確かに言ってることは正しいと思うんですが、こんな事ばっかり考えてるから宇多丸氏は結婚できないんぢゃないでしょうか。

この章では、ウディ・アレン以外に「(500)日のサマー」を推薦しています。早速アマゾンプライムで見ました。500日間の恋愛物語なんですが、冒頭に「これはラブ・ストーリーではない。」というキャプションが出たり、時間が行ったり来たりして、面白い作りになっています。ストーリーはウディ・アレン風で楽しめました。

この本は以前単行本で出たものを文庫化したんですが、文庫にするにあたって、かなり書き加えており、収録映画数も増えています。洋画、邦画以外にNETFLIXオリジナルも取り上げられており、暇つぶしに何を見ようかと迷っている方にはおススメです。別の章で宇多丸が推薦した「ネイバーズ」(原題:Bad Neighbors)という大騒ぎのおバカ映画で大笑いさせてもらいましたが、この本が無ければ絶対見る事はなかったでしょう。