全裸監督(NETFLIX)

近頃、巷では「全裸監督」の評判がすこぶる良い。見た人の多く(芸能界人)は異口同音に「金がかかってる」と言う。製作はNETFLIXでこの会社の今年のオリジナルコンテンツの総製作費は1兆円を超えているそうだ。ハリウッドにも勝る金の掛け方である。また、昨日の日経には米国内でのIT技術者不足の話題があったがNETFLIXがアップルやグーグルの2倍以上の給与で人を集める事がその要因の一つらしい。本作は村西とおる監督の自伝的小説「全裸監督」(本橋信弘著)をネットフリックスがドラマ化した。(シーズン1、全8話)。村西とおるは1980年代のAV界をリードした監督で、黒木香が主演した「SMぽいの好き」が大ヒットしている。

村西とおる(山田孝之)は札幌で英語教材のセールスマンであったが、営業成績が伸びずパワハラを受けていた。ある日、顧客(やくざ)からの助言でセールストークに目覚め、成績を急伸させた。その後、チンピラのトシ(松島真之介)からアダルトの世界に誘われ当時流行していたビニ本の製作・販売を始める。大手業者やヤクザからの嫌がらせ、営業妨害を受けるも挫けず、業務を拡大していく。ついに新宿歌舞伎町に進出し、AVビデオの製作・販売を始めたが、ここでも同業者のヤクザやヤクザと裏で通じている刑事(リリーフランキー)らに営業妨害を受ける。

起死回生を期してハワイでペントハウスの元AV女優のビデオを撮影するが、公序良俗に反する咎で逮捕される。日本に帰ってきたスタッフの涙ぐましい努力で保釈金を用意し、村西を帰国させた。そのころ、横浜国大生だった黒木香(佐原恵美)はイタリアの美術学校への留学資金のため、村西の会社に飛込む。デビュー作の「SMぽいの好き」が大ヒットし、多数の雑誌やTVに出演する時の人となる。

1980年代の歌舞伎町を再現したセットには自分が覚えてる店の看板などがあり、当時を忠実に再現している。また、その街中を自転車で朝日新聞を配るタイガーマスクの雄姿があり、なんかうれしかった。ブラピとデカプリオが共演した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」では1969年のハリウッドの街並みが再現され、タランティーノ監督が楽しんでる雰囲気が感じられたが、こちらは自分が見た風景なので、なんとも言えない懐かしさがある。小道具にもこだわりがあり、作中のビニ本やAVビデオは新たに製作した。総監督の武正晴は明大卒で学生時代は明大前の貸ビデオ屋でバイトをしており、当時の主要な女優は覚えている。彼によれば最近のAV女優はかわゆい子ばかりであるが、当時は今ほどではなかったので、ビニ本を作る際オーディションでなんか今一つ残念な子ばかりを集めたと言う。

主演の山田孝之は段々村西本人に見えてくる。駅弁発祥の秘話も自身で演じて迫力がある。脇役ではトシのチンピラヤクザ振りが凄い。また、裏でヤクザと通じている刑事役のリリー・フランキーは大河ドラマで緒方竹虎を演じている時と顔が違い、なんとなくダラっとした怪しい雰囲気を醸し出している。黒木香 (佐原恵美) は腋毛を伸ばし、当時の黒木の喋り方をマスターしており、本人かと見紛う演技力であった。尚、アダルト・ビデオ店の主人としてピエール瀧が出演していた。

本作は国内ばかりでなく、海外でも評判が良く、米国最大の映画評論サイトである”Rotten Tomatoes”でも高評価を得ている。NETFLIXは世界をマーケットにしているため、製作費を掛ける事が出来、こういう作品を作ることができる。最近ツタヤでも映画でなくTVドラマのレンタルが幅を効かせており、「劇場で見る映画」→「DVD」→「配信」という時代の流れは抗いようのない気がする。ちなみにシーズン1は昭和の終焉と共に終わっており、現在製作中のシーズン2では平成の、だんだん落ちぶれていく村西とおるが見られそうだ。

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