自転車にのって/添田唖蝉坊+高田渡

NHK大河ドラマの「いだてん~東京オリムピック噺~」では金栗四三の幼馴染役で綾瀬はるかが出演している。彼女は颯爽と自転車に乗っていたが、当時女性が自転車に乗るという事はかなり裕福な家庭で育ち、かつ勇気がなければ出来ない珍しいことであった。熊本の田舎ではかなり目立ったろうと思われる。

彼女は「チリリン チリリン と 出てくるは・・」と歌いながら自転車に乗っている。これは明治の演歌師である添田唖蝉坊の歌である。私は学生時代、添田唖蝉坊について調べた事があり、懐かしく思えた。そこで、そのオリジナル音源を探してみたが、ありそうで無い。仕方がないので高田渡のアルバム「ごあいさつ」に収録されている「自転車にのって」をリンクした。この曲は前半に添田唖蝉坊の歌があり、それに続けて高田渡が自作の「自転車にのって」を歌っている。

この歌は演歌師の神長瞭月(かみなが りょうげつ)が明治42年に流行らせた「ハイカラソング」の一節であると言われている。残念ながら神長のオリジナル音源も探し出すことはできなかったが唖蝉坊の歌からも当時の雰囲気が伝わってくる。これ以外にも唖蝉坊の歌は色々なフォーク歌手が取り上げているが、その中では、やはり高田渡がぴったりとはまっている。

〽チリリン チリリン と
出てくるは 自転車乗りの 時間借り
曲乗りなんぞと 生意気に
両の手離した しゃれ男
あっちいっちゃあぶないよ
こっちいっちゃあぶないよ
それあぶないと言っている間に
転がり落っこった  

(当時、自転車は高価だったので、時間借りで乗る人も多かった。)

添田知道は添田唖蝉坊の長男で戦後「演歌の明治大正史」や「日本春歌考」等の著作がある。こういう本をゆっくり読んでみたい気がする。

【蛇足】演歌は「演説する歌」という意味であるが、最近は「艶歌」と書かれる事が多く、演説とは関係なくなっている。これは「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と目から火を噴いて叱るチコちゃんによれば昭和41年の五木寛之の小説「艶歌」がベストセラーとなり、それから「艶歌」という表記が定着したそうです。

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