ご笑納下さい/高田文夫著



高田文夫は現在70才の放送作家。これまで数々のお笑い番組を制作して来たが、オールナイト・ニッポンでビートたけしとのトークが爆笑を生み、放送作家がTVやラジオに出る先駆けとなった。日大落研出身で立川談志に入門し、立川藤志楼(トーシロー)襲名。CDが多数出ているが、談志によれば「月の家 圓鏡より上手い」。2012年4月心臓病で入院。7ヶ月の闘病の末復帰。復帰後毎週月、金、ニッポン放送のラジオビバリー昼ズで元気に喋っている。生放送なので何でも笑いにしてしまう弾丸トークに共演者がついて行けないこともしばしば。ラジコのタイムフリーで欠かさず聞いてますが前より面白くなった気がする。今が絶頂期という人がいるが確かにそうだ。

この本は高田文夫がこれまで小まめに記録してきた名言、迷言、都都逸、狂歌、川柳を纏めたもの。週刊文春に坪内祐三が書評を書いていたので一部引用する。

「迷言王は二人いる(中略)。『打つと見せかけてヒッティングだ』という言葉を引く。長嶋監督がランナー二・三塁で代打を呼び、耳元でささやいた言葉だ。そして、『文庫追記』にこうある。ジャイアンツのV旅行でハワイに向かった時、『ビーフorチキン?』とまず川上監督が聞かれ、『ビーフ』と答えて、続いて王が聞かれたら、『Me too』。そして『あなたは?』と聞かれた長嶋は、『Me three』。もう一人の王様はガッツ石松だ。まず『急ぎの時は、電車の先頭に乗る。』という言葉を引く。『世界の三大珍味です。トリュフ、フォアグラ、さぁあと一つは?』。『キャタピラ!』」

「(前略)今も元気な野末陳平の、『老後はキョウイクとキョウヨウ』というのは箴言だ。『キョウイクとキョウヨウ』というのは『教育』と『教養』ではない。『今日行くところ』と『今日の用事』という意味だ。たしかにこの二つがしっかりあればボケる事はないだろう。」<引用終わり>

なにしろ昭和から去年の末頃まで幅が広いので読者の年代によって受け方が違うと思う。以下に自分が面白いと思ったものをランダムに挙げてみる。

「シューマイの数だけグリンピースはある。」(若手漫才師)
これ、いつもの顔半分笑いでなく、何か内臓の奥からふつふつと来る。なぜ面白いのかと聞かれても答えられない。
「あそこが立っているのが主人です。」(三宅裕司夫人)
正しくは”あそこに”です。
「鳩がどいてくれません!」(ヒロシ)
ヒロシの本にサインしてもらった事があります。
「マネジャから電話で『今日の銀座の仕事はキャンセルです』と聞いた先代桂文治。銀座でキャンセルという名のキャバレーを探しまくった。」
先代文治のくりくりとした江戸のおじさん顔が思い出されます。
「世の中に 人のくるこそ うれしけれ とは言うものの お前ではなし」(内田百閒)
さすが百閒先生。言いにくいところをサラッと言ってしまうところが笑えます。
「言い訳を しているうちに 蕎麦がのび」(古今亭志ん生)
志ん生の川柳は沢山残ってますが、この句は情景が目に浮かぶようで、半笑い。
「ジョニーが来たなら伝えてよ、二次会庄やだと~」(若手芸人)
庄やで良くホッピーを飲みましたが、庄やは二次会というより一次会でしょう。
「犬も歩けば猫もあるく」(高田文夫)
さすがは高田先生。なんでもないところを笑いにしてしまう名人です。

この本は過去に出ていた同様の2冊を合冊し追記を加えたお徳用です。暇な時、半笑いしたい方にはお勧めです。