くれないホテル/西田佐知子

かなり前になるが、歌舞伎町に「えば」というスナックがあった。今はもう無いが、そのスナックのママが同郷という事で時々顔を出していた。そこに高校の先輩・後輩が寄り集まって宴会をやったり、出張で上京していた市長と一緒に飲んだり歌ったりしたこともある。

当時はカラオケボックスよりスナックで歌う事が多く、ママは西田佐知子が好きだというので「くれないホテル」を店のカラオケで何度か歌った覚えがある。

この歌は橋本淳作詞、筒美京平作曲で筒美京平はご承知の通り、数多くのヒットソングを作曲している。彼について色々な論評があるが、最近入手した筒美京平に関するインタビュー集では細野晴臣、大滝詠一、山下達郎がそれぞれの筒美京平に対する想いを述べている。

当時細野晴臣は洋楽、特にサイケデリックな音楽にどっぷり浸かっており「とにかくアメリカ、イギリスの辺りの音楽の全盛期で、日本の音楽は今聞いていいと思うようなものでも、当時は全然耳に入ってこなかったんです。その中で一曲だけ入ってきたのが筒美さんの『くれないホテル』だったんです。」と述べている。

細野晴臣が「くれないホテル」を高く評価しているという事を大滝詠一は知っていたようで「まず、筒美作品で一番好きな曲を挙げろと言われれば弘田美枝子さんの『渚のうわさ』なんですよ。細野(晴臣)さんだと『くれないホテル』(西田佐知子)と来ると思うけど(笑)」

山下達郎は「くれないホテル」について「弦が印象的な曲とかそういうのはいくらでもあげられるけど『17才』とかね。ブラスはなんていったって『また逢う日まで』ですよ。あのイントロのスケールってすごいもの。あとは『くれないホテル』の『ホ・テ・ル』のあのメジャー7thの感じとかね。」

私もこの歌は他の演歌と違う落ち着いた感じが心地良く感じました。特に山下達郎言う処の「ホ・テ・ル」が堪らないですね。下敷きはエンゲルフンパーディンクの「ラストワルツ」だとかバートバカラックの影響とか言われますが、まあ、そういうのはどうでも良いと言い切ってしまいましょう。

西田佐知子の唱法はヴィブラートが少なく、都はるみがHOTとすれば西田佐知子はCOOL。水前寺清子が陽とすれば西田佐知子は陰。ジャズで言えばNYを中心としたEAST COAST JAZZというより米国加州で盛んだったWEST COAST JAZZという感じでしょうか?

では、「ホ・テ・ル」とそれに続く余韻をお楽しみください。