You’d Be So Nice To Come Home To / Helen Merrill + Clifford Brown

クリフォード・ブラウンのレコードはマックス・ローチとのBrown Roach Quintetのアルバムを何枚か持っていますがLPなので、少々聞きにくい状況になっています。クリフォード・ブラウンはどのアドリブを聞いても全く破綻が無く、上手すぎるという感じです。酒やスリクにも縁が無く、その人柄の良さからミュージシャンたちの信頼を得ていました。彼の死後、Lee Morganは”I Remember Clifford”という素晴らしい追悼歌を作曲し、スタンダードとなって今でも時折演奏されます。この歌のタイトルは解釈が難しいので、忘れないために過去のブログ記事を復活・再掲しておきます。
………….2011.08.18
26歳の若さで同僚リッチーパウエルと共に自動車事故で夭折した天才トランペッタークリフォードブラウンが24歳の時の録音です。24歳とは思えない艶っぽいソロを聞かせています。歌っているのは当時「ニューヨークの溜息」と渾名されたヘレンメリルでその名に恥じないセクシーな名唱を聞かせています。クリフォードブラウンとヘレンメリルの相性もピッタリで、ジャズファンなら知らない人はいないという名盤が生まれました。ジャケ写も良い仕事してます。

You’d be so nice to come home to/あなたの待つ家へ帰れたらどんなにすてきでしょう
You’d be so nice by the fire/あなたが暖炉のそばにいてくれたらどんなに素敵でしょう
While that breeze on height sang a lullaby/そよ風が高くまいながら、子守唄を歌ってくれて
You’d be all that I could desire/私が求めるものがあるとしたら、それは、あなただけ
Under stars chilled by the winter/冬の寒さに震える星の下でも
Under an August moon burning above/空で燃えさかる真夏の月の下でもYou’d be so nice you’d be paradise to come home to and love/帰って行くところとして、そした愛する相手として、あなたがいてくれたら素敵で、どんなに楽園のようでしょう

「帰ってくれたらうれしいわ」という邦題が付いていますが、大分前に大橋巨泉がこのタイトルはおかしい、なぜなら最後に”to”がついているからだと言ってました。しかし、彼も明確に誤りを指摘できた訳ではありませんでした。長い間謎が解けませんでしたが、最近、江口裕之という英語の先生のホームページに詳しい解説があり、やっと納得できました。要は家で待っているのは私なのかそれとも彼(または夫)なのか?という事です。ちょっとくどくなりますが江口先生の解説の一部を引用します。
It is hard to drive on this road/この道路は運転しにくい。という文章をThis road を主語にして書き換えると;
This road is hard to drive on となります。最後のonが無いと文章になりません。(This road が主語となれない)もう一つ;
It is easy to live in this city/この町は住みやすい をThis cityを主語にして書き直すと;
This city is easy to live in となります。やはり文末のinは落とせません。では応用問題;
It would be so nice to come to you/貴方のそばに行くのはとっても素敵なこと(でも仮定法だから出来ない)これに副詞のhomeを入れると;
It would be so nice to come home to you/あなたの待つ家へ帰れたらどんなに素敵でしょう。となります。これをYouを主語にして書き換えると;
You would be so nice to come home toとなります。すなはち、待っているのは彼で彼が待っている家に帰れたらどんなに素敵な事でしょう、という意味になります。解説を読んでなる程と納得しましたが、自力では発見できませんでした。何はともあれ、20年来の疑問が解けて非常にスッキリした今日この頃です。

I remember Clifford / Lee Morgan (Lee Morgan Vol.3)

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