ひょっこりひょうたん島/夏木マリ

夏木マリ氏は「もお~いや、絹の靴下は、高いわりにはすぐいっちゃう」とお色気十分な歌とクネクネで一世を風靡してましたが、こんなのも歌っているんです。

このアルバムは高度成長期のヒット曲のカバー集です。しかし、聞いてみると何だか分かったような分からない編曲です。バックは実に気持ちよく演奏しているようですが、肝心の夏木マリのボーカルに寄り添う気配は微塵もなく、ただひたすら勝手に動いていくという感じです。多分、彼女はかなり歌いにくかったのではないでしょうか。

珍盤・奇盤に分類しては申し訳ないという気もしますが、今後このような曲は二度と現れないだろうという事で、評価してみました。

トホホ度 ★★★★
お笑い度 ★★★☆
意味不明度 ★★

春がいっぱい/シャドウズ

桜も終わり、初夏を思わせるような日もあれば、朝方寒さに目が覚めるというような日もあり、将に春本番となって参いりました。昔のラジオはこの季節になると必ずDJ又はパーソナリティ氏が「朝、眠いですねぇ、春眠暁を覚えず、云々」と言ってこの曲を掛けていました。

原題は”Spring is near here.”ですが「春がいっぱい」とは良い邦題を付けたものです。シャドウズは英国のロックバンドでビートルズの少し先輩にあたり、クリフ・リチャードとの共演でも知られています。ヒット曲は色々ありますが、この曲は「日本だけで売れた洋楽」の一つです。春真っ只中、なんだか眠いような、けだるいような雰囲気が良く出ています。

嘆きのボイン/月亭可朝

今朝の朝刊によれば月亭可朝さんが3月28日にお亡くなりになったそうです。享年80。コテコテの関西人だと思ってましたが、記事によれば生まれは神奈川県だうそうです。

月亭可朝は言うまでも無く落語家です。が、彼の落語をTVで聞いたことはあるんですが殆ど覚えてません。参院選に出て二度落選、ストーカー等々話題は色々ありますが、やは可朝といえばこの歌でしょう。歌もさることながら、このジャケット写真で堂々とレコード店で売られていた訳で、今ではとっても無理でしょう。

トホホ度 ★★★★
お笑い度 ★★★☆
意味不明度 ★★★

呪い/山崎ハコ

今年は寒い寒いと思っているうちに急に暖かくなって意外にも桜が早く咲き、4月に入って既に会社の前は葉桜になってしまいました。今日も暖かい好天で新入社員と思しき若者が街をウロウロしています。自分の新入社員当時を思い出し「散る花や 昭和は 遠くになりにけり」という心情です。

こんな明るい気分のこの時期に何故かこの歌を思い出してしまいました。要するに藁人形に釘を打っている訳ですが、「釘を打つ」と言わずに「釘を刺す」としてあるところに凄味があります。歌詞は結構きついのですが、歌い方は割とサラッとしているので、何とか聞けるという感じです。一応、カテゴリは珍盤・奇盤としてみましたが、採点のしようがありません。こんな歌が発売された昭和というのは本当に良い時代でした。
 

トホホ度
お笑い度
意味不明度

ヤットン節/久保幸江

今年は寒かったので、桜は遅いかと思ってましたが、会社の周りの花は既に七分咲きという処です。今週いっぱいが見ごろでしょうか。

桜と言えば花見。あちこち桜の名所では大変な騒ぎでしょう。私も前の会社でワカイシに朝から上野の山の場所取りをさせた事がありますが、昨今はパワハラとか言われて、こういう事もやりにくくなっているのかも知れません。

宴会の席で歌う酒に纏わる歌は山ほどあるでしょうが、この歌は典型的なクラシック。以前は宴席で聞く事もありましたが、最近は忘れ去られているような気がします。調子の良い七五調の歌詞で、酒飲みの気持ちが率直に出ており一度聞くと耳の奥に残ります。A面のトンコ節も後世に伝えたい名曲です。これは別の機会に紹介します。

………..<2018.03.29追記>………………….

やはり、A面のトンコ節が聞けないのは寂しいと思い、追加しました。

Crazy / Patsy Cline

宮地淳一氏はかつて某レコード会社の社員であった。昔(30年くらい前か)カラオケをアメリカに売り込む事になり、その当時の話をラジオで語っていた。

設備は電源電圧を変えたり、操作パネルや取説を英語に翻訳するだけだが、問題はどんな歌を入れるか?そこで、米国に乗込み、放送局、レコード店、ジューク・ボックス等を調べて歩いた。その時、何人かのDJに直接聞いてみると彼らが異口同音に、絶対入れるべきと言った曲はウィリー・ネルソン作曲でカントリー&ウェスタン歌手のパッツィー・クラインが歌う「クレイジー」だったそうです。

この歌はこのブログのメニューにある「昔のTOP 100」の曲名検索欄に「crazy」と入れても出てこないので、大ヒットという訳ではないようだが、当時の米人は老若男女、誰でも知っていて人気があったようです。

この歌を聞くと、何故か昔見たアメリカのTV番組、名犬ラッシーとかルーシー・ショーなんかの一場面を思い出します。古き良き時代(ベトナム戦争以前)のアメリカ白人家庭で、デッカイ冷蔵庫があり、食卓で子供が母親が作ったハンバーガーを食べながら特大の瓶から牛乳を飲んでいる。その脇の戸棚に置かれている当時最新の5球スーパーラジオから、この歌が流れてくるような。米人にとってカントリー&ウェスタンというのは卑近な例ではあるが日本人の演歌というところでしょうか?

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Crazy, I’m crazy for feeling so lonely
気が狂いそう、とても寂しくて気が狂いそう
I’m crazy, crazy for feeling so blue
気が狂いそう、とても憂鬱で気が狂いそう
I knew you’d love me as long as you wanted
僕は君が望む限り、僕を愛してくれるって知っている
And then someday you’d leave me for somebody new
そして、いつか、新しい誰かのために僕から離れていく
Worry, why do I let myself worry?
心配、どうして僕は心配しなけりゃならないんだ
Wondering what in the world did I do?
一体全体、僕が何をしたというのか
Crazy for thinking that my love could hold you
気が狂いそう、僕の愛が君を繋ぎ止められるか考えるだけで
I’m crazy for trying and crazy for crying
僕はなんとか頑張って、泣いて、気が狂いそう
And I’m crazy for loving you
そして、僕は君を気が狂わんばかりに愛しているんだ
Crazy for thinking that my love could hold you
気が狂いそう、僕の愛が君を繋ぎ止められるか考えるだけで
I’m crazy for trying and crazy for crying
僕は君を気が狂わんばかりに愛しているんだ
And I’m crazy for loving you.
そして、僕は君を気が狂わんばかりに愛しているんだ

イエローサブマリン音頭/金沢明子

大滝詠一氏が突如亡くなられてから早いものでもう4年が過ぎました。私も学生の頃Niagara Moonを買って何度も聞いていました。当時はゴリゴリの硬派ジャズファンの雰囲気を醸し出すべく、ジャズ喫茶に行き、渡辺貞夫の真似してハイライト吸いながら、訳分からん本読んで青い顔してました。そんな頃、友人には大滝詠一のLPを買った事を隠してましたが、何かの拍子でばれてしまい、それからは大っぴらに明るい雰囲気で大滝詠一の歌を聞く事が出来るようになりました。

大滝さんというとクレージー・キャッツ再ブレークとか小林旭研究が有名ですが、もう一つエルビス・プレスリー研究では世界有数と言えるでしょう。特にエルビスデビュー前のデモ・テープのコレクションは誰か纏めて世に出して欲しいものです。イエロー・サブマリン音頭も大滝氏プロデュースらしい傑作です。

<復刻・再掲: 2004.12.18>…………………

この「イエローサブマリン音頭」は我国近代音頭界の重鎮である大滝詠一氏プロデュースによる傑作である。成功の要因はまず歌手として金沢明子の起用であろう。彼女の伸びのある高音が音頭という様式美にぴったりと言える。また、誰もが知っているビートルズのイエローサブマリンを素材とした事も大滝氏のセンスが光ると言えよう。尚、編曲はクレージーキャッツの一連の作品で著名な萩原哲晶である。

 

トホホ度 ★★★★
お笑い度 ★★★☆
意味不明度 ★★

クリムト 官能の世界へ/平松洋著

今年は1862年生まれのクリムトの没後100年だそうです。この本は世紀末のウィーンで活躍したクリムトの170点の絵とその生涯を解説しています。

クリムトに題材を採った映画には「クリムト(2006)」と「黄金のアデーレ  名画の帰還(2015)」があります。「クリムト」は臨終寸前のクリムトが過去を思い出す形で彼の生涯が語られます。クリムトの弟子のエゴン・シーレ役が病的な表情を旨く出していました。(エゴン・シーレには『エゴン・シーレ 死と乙女』(2017)という映画があります。)

この映画には焼失した壁画や正方形の風景画が出てきて、ほぼ史実に沿って進行します。が全体的にどうも妖しい雰囲気で余り後味は良くありませんでした。正方形のキャンバスには印象派のような点描で風景が描かれておりクリムトにも印象派の影響があったようです。キャンバスを正方形にしたのは何かの拘りがあったんでしょうか。

クリムトは映画「クリムト」にもあるように、アトリエに裸の美女を何人も待機させ、気の赴くままにスイッチして独特の裸女画を多数描いていたようです。そのモデル全員と寝たという噂もありますが、真偽のほどは定かではありません。

「黄金のアデーレ 名画の帰還」は大戦でドイツに接収されたクリムトの絵を取り戻すという実話に基づいた映画で、明るいハリウッド映画です。実際に取り戻された「アデーレ・ブロッホ=バウァーの肖像Ⅰ」は私がロサンジェルスに居る時に公開され運良く見ることが出来ました。当時のヨーロッパ画壇にはジャポニズムと呼ばれる日本画ブームがあり、クリムトもその影響を受けていますが、金箔を上手く作品に取り入れたのは彼だけでしょう。和洋に限らず金箔の輝く絵というものは見るものを圧倒します。

本書は新書サイズにクリムトの代表作が殆ど網羅されています。普通の画集や写真集は最低でもA4サイズで、判型が大きい方が絵も写真も迫力がでますが、ちょいと持ち歩くには大きすぎます。それに比べ本書は扱いやすい画集という感じでクリムトに興味のある方にはお勧めします。

乙女の絵画案内/和田彩花著

絵画の入門書といえば殆どが大学の美術の先生が学問的、歴史的に系統立てて説明され、最も教科書的な敢えて言えばオジサン目線の解説となる訳です。

これに対し、最近は中野京子先生の「怖い絵」や「名画の謎」で、絵の中のパーツの意味、物語、エロさが解き明かされ、オジサン先生方と違って奥歯にものが挟まっていない解説で楽しめました。

そして遂に、オジサンでも無くおばさんでも無い、アイドルが書いた絵画入門書が出ました。キーワードは今や世界を席巻している”kawaii”です。最近の女子は文物をカワイイかカワイクないかで二分する傾向があり、この本では彼女がカワイイと思ったであろう20の絵が彼女視線で解説されています。

まず、最初にマネの「鉄道」が出てきます。パリのサン・ラザール駅の鉄柵の前に座る母と後ろ向きの少女が描かれています。彼女はこの絵によって、絵画に目覚めたと言っています。特に後ろ向きの少女の服がカワイイと早速キーワードが出てきました。

次はベラスケスの「ラス・メニ―ナス」です。この中で「人それぞれ、絵のどこに注目するかというのは違うと思いますが、私の場合、まずやっぱり『かわいい!』と思ったポイントに目が行っちゃいます。」と言って真ん中の少女がカワイイと感じたようです。この絵の解説は色々ある中で可愛いと思った人もいた筈ですが、堂々とカワイイと表現したのは始めてだと思います。

セザンヌやフェルメールの解説の中では、自分がモデルになって描いてもらいたいと如何にもアイドルらしい感想がありました。自分は少年の時分に絵描きになりたいと思った事がありますが、その時は多分こういう状況を想像し色んな美人モデルとのお付き合いを夢想していたのかもしれません。ここに実際に描いて欲しいというアイドルの証言がある訳ですから、自分の妄想もあながち的外れでは無かったような気がしました

意外にもアングルの「泉」が選ばれています。前向きの全裸の女性が左肩上に壺を持ち、その壺から水が流れ落ちているという絵です。19世紀央までは絵に筆の刷毛目を残すのは下手だとされており、アングルは完璧に滑らかに肌を描いています。思わず触って見たくなる程です。しかし彼女は「きれいすぎて人間じゃないみたい」だそうで、これに比べてセザンヌの裸女の方が人間らしく見え、アングルはまるで陶器のように見える。だからアングルよりセザンヌの裸の方が「生身の女性の裸をみているよう」で恥ずかしいそうです。この辺は自分と感覚が真逆なんですが、皆さん如何でしょう?

これまでの絵の本と違った感覚が全編に見られ、楽しい読み物でありました。新書でありながら、カラー写真のカバーを作って頑張ってますが、カバーの上に村上龍の意味不明な文句が入っています。これ見た途端に村上龍のゴツゴツした顔が思い浮かび、折角の綺麗なカラー写真が台無しです。有名人の名前を出せば本が売れるだろうという担当編集者の貧相な発想が如何にも残念です。

とん平のヘイ・ユウ・ブルース/左とん平

新聞によりますと2月24日に左とん平さんがお亡くなりになったそうです。享年80。

私は「時間ですよ」や「寺内貫太郎一家」に出ていたとん平を良く覚えていますが代表作と言われる「非情のライセンス」は残念ながら見ていません。

「寺内貫太郎一家」はBSで再放送しているらしく今日のラジオビバリー昼ズで高田文夫が、とん平は石工、その先輩が伴淳三郎、近所の花屋の大将が由利徹という配役で最高だね、と嬉しそうでした。樹木希林がジュリーのポスターの前で「じゅり~」と身体を震わせるギャグは有名ですが、あの時彼女は30歳。本人によれば顔は老けメイクでどうにでもなるが、手が若く見えるというので、いつも指先が出ている手袋をしていたそうです。

タイトルの”Hey you what’s your name?”はその昔トニー谷がそろばんカチャカチャさせながら「あなたのお名前何てぇの?」と呼びかけてた台詞を英語化したものという解説がネットにありましたが、本当かどうか不明です。

この歌、改めて聞き直してみると、重厚なブラスをバックに叫んでいる声が迫力があり、聞かせてくれます。以前のブログ記事が残っていましたので、復刻してみましたが、かなりの酷評で少々言い過ぎかなと反省しています。バックは編曲とピアノが深町淳。ドラムが村上ポンタ秀一、サックス村岡健等々、錚々たるミュージシャンが揃っています。

……復刻・再掲<2011.10.11>

この歌はお聴きになればお分かりの通り、バックの盛り上げに合わせて左とん平が上手くシャウトしてR&Bとして見ればなかなかの佳曲ではあります。その証拠に既に3度も再発され、最近のクラブでかかっていたという耳撃情報もあります。しかし、しかしです。祇園精舎の鐘の音からはじまり、すりこぎがどうした、お前はだれだ、等と喚くばかりでさっぱり意味不明です。どうも自分がこき使われて苦しいんだよ、と言いたいんでしょうが、かなりの無理があります。少々甘めかも知れませんが、意味不明度には満点を差し上げましょう。

トホホ度 ★★★★
お笑い度 ★★☆
意味不明度 ★★★★★